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大阪経済の現状と今後/慶應義塾大学経済学部教授 植田浩史氏(第46回KNS産業クラスター研究会)

上記タイトルで、植田氏から、「データに見る大阪経済の傾向的低下」、「東大阪市を例とした課題分析」、「伸びている企業の特色」等についての報告の後、質疑、交流会がありました。案内文は以下のとおりです。
『景気が上向きといわれていますが、景気の回復を実感し、業績回復から過去最高業績を実現している企業、逆に回復が実感できない企業に分かれているようです。
今回のクラ研では、今年3月末まで大阪市立大学大学院創造都市研究科で、産業集積や産業クラスター研究に携わり、近畿経済産業局の産業クラスター研究会や大阪市のものづくり再生プラン策定委員会で座長を務められた現慶應義塾大学教授の植田浩史さんにお越し頂き、大阪経済の現状をシビアに見た上で、今後の可能性についてご報告いただきます。
KNS自体、上記研究会や委員会に集まった有志等で発足した経緯もあり、いわばKNSの原点とも深く関わる方のお一人です。今回初めてKNSに登場していただきますが、その定評ある鋭い分析と本音レベルでの辛口のご意見にご期待下さい。大阪経済、ひいては関西経済の行方や、産業集積、産業クラスターにご関心のある方は是非この機会にご参集下さい。』
以下に印象に残ったコメントおよび感想を列記します。交流会時には、大阪市のビジネスチャンス倍増プロジェクトのマッチングナビゲーターの方から、マッチング現場の実際について、直接お聞きすることができたこと等、共通の関心をお持ちの方とお話できたことは有意義でした。(kmy)
●氏は、大阪の経済が沈んだ要因について、客観的に分析する必要と感じ、今回の報告はその視点で行われた。
●日本経済に占める大阪府のシェアは、1970年代には10%あったが、現在は7?8%。一方、東京都は、17%程度の高水準を保ちつづけている。
●卸売業は、東京都、大阪府とも低下傾向がつづいたが、1997年にIT化を契機に一極化が進んだ際に、東京都は再浮上したが、大阪府はその後も低下傾向がつづいた。
●小売業は、3大都市圏では唯一低下傾向になっている。雇用の低迷が影響していると思われる。
●3大都市圏で、すべての面で経済が低下しているのは大阪府のみ。この要因は、「グローバル化により一極化が進み、NO2経済の維持が困難になった」、「大都市間競争にて優位性を示せなかった」、「IT化に際し、過去の大阪からの脱却に失敗」等にある。
●グローバル化による一極化を示す決定的指標は、発信情報量のシェアが東京の1/10と圧倒的に劣っている点にある。
●サービス業は、サービス財の特徴上、消費地立地(分散)傾向にあったが、最近では、スケールメリットの方が重視される傾向に変化し、小規模事業所は減少傾向にある。その傾向により、東京都は増加し、大阪府は減少している。特に、コンテンツ産業に傾向が顕著に現れている。
●コンテンツ産業の減少は、大阪の「下請け化」を示す。結果は、利益率の低下と若年層の流出につながる。社会移動による大阪の高齢化が懸念される。
●東大阪市の中小企業の減少は、比較的小幅だったが、2000年以降、減少幅が拡大した。貸し渋りの影響とされた。
●東大阪市の中小企業の問題を象徴する例として、「ニッショー機器の倒産」、「まいど1号」、「ロダン21」、「財団法人東大阪中小企業振興会制度融資」の4つがあげられる。これらの現象は、他都市でも見られる現象であり、しっかり検証する必要がある。
●企業の競争力と地域の競争力とは分けて論じる必要がある。大阪の企業がすべて元気がないわけではない。
●イタリアでも見られ出したように、地域のネットワークが企業の競争力の阻害要因となることもある。
●行政側は、地域産業施策と企業支援施策をわけて考えないといけない。
●大阪市のビジネスマッチング施策は、大阪で行われている最もよい施策のひとつ。
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